3月11日にさいして 2018年度卒業生より
卒業生で今オーストラリアに留学している人からのメッセージをお届けします。
もうすぐ彼女の体験をまとめた本ができるそうです。完成したら紹介するので、ブログもまたのぞいてください。
東日本大地震から今年で8年になるだなんて信じられません。
早かったような、長かったような。
小学5年生の時に被災した私も今年で20歳になります。
そう思うとあれから長い年月が流れたのだなと感じます。
しかし、原発事故はまだ終わってはいません。
8年経とうとしている今でさえ私にとったら2011年と状況が何も変わっていないのです。
福島に帰っても、福島県産のものは食べられないし、原発事故の話なんて一切友達とはしません。
「福島県産のものは食べられないんじゃなくて食べないんでしょ?」と思う人もいると思います。
私はその選択が重要だと思います。
食べないという選択をすることによって、それが脱原発、脱被曝への意思表示であり、自分の身を守る最も有効な手であると思うからです。
友達とはもちろんそのような話は特にしません。
それどころか、震災、原発事故だなんてそんなこともあったねくらいです。
しかし私自身そのような周りの反応に慣れてしまっているというのも怖いことだとしみじみ実感しています。
今、オーストラリアにいるのですが、オーストラリアで会った日本人に「福島出身です。」というと、津波は大丈夫だった?もう放射能とかは大丈夫なんでしょ?終わったんだよね?などと言われます。
しかし、他の国の方に同じことを言うと、あの事故はひどいよね。引っ越しを決めたのはいい決断だと思う。
なぜ国は人が福島に住むことを許しているのか。
福島にまだ住んでいる人がいるだなんて信じられない。
などの反応が返ってきます。
私はこのようなことを聞いた時に福島の原発事故ってこれだけ大変なことなんだ。
なのに福島に住んでる人、日本の人は関心がなさすぎる。というか、国民が知っている情報自体が少なすぎると思いました。
オーストラリアでは、みんなが見るような時間帯に普通に福島原発についてのドキュメンタリーを放送したりしていました。
私自身、兵庫県に避難をして、原発を無くすべき。被曝を避けるべき。と思って来ましたが、やはり周りの空気に流されて感覚が麻痺していた部分もあったのだなと思いました。
今現在オーストラリアにいるということは日本を客観的に見る機会であり、福島の現状や自分の経験を世界の人に伝えられる機会だと思っています。
日本を客観的に見て、簡単に言えば、日本大丈夫?というのが一番に来ます。
私の祖父母も福島に住んでいますが、福島に人が住んではダメなのではないか。本来なら今すぐみんなを避難させるべきだという気持ちが強く、祖父母の事を思うと少し複雑です。
しかし、私はいつも原発事故の話をオーストラリアの方にする時にずっと支え続けてくれているみなさんの顔が浮かびます。
みなさんの支援があってこそ私たち親子は避難生活を続けていられるのだと思います。
日本には無関心な人ばかりでなく、一緒に声を上げてくれる人もいるということもオーストラリアの方々に伝えられたらいいなと思います。
来年はオリンピックというなんともいえない複雑な心境ですが、オーストラリアから帰って来たら、私もみなさんにしてもらったように、今度は福島や関東に住んでいる支援を必要としている方々をサポートしたいです。
私は、被爆者です。
これは、どうやっても消せない事実で、死ぬまで不安はつきまとうでしょう。
しかし、このような経験をした私にしかできないことがあると思います。
これからは私たち世代がよく考え、行動していかなければならないのです。
もう2度とこのような悲しい事故は起こしてはいけません。
私たちの子孫に残してはいけません。
私たち世代がこの負の連鎖を断ち切らなければならないのです。
みなさんに福島、そして日本の未来のために力を貸して欲しいです。
今日は、ありがとうございました。