裁判制度始まる
終わりの会に「困ったこと」というコーナーがあります。そこで、「みんなで決めたこと」を破って迷惑をかけた子のことを話し合っていました。
「何回も同じことで困ったことに話を出される子がいる。それじゃ、変わらない子もいる。ここでも『裁判』を開いたらどうだろう?そこでもう一度しっかり話し合って、有罪無罪とか決めて、ちゃんと態度を改めてもらえるようにしたい」とAくんから提案がありました。アメリカの法廷物のドラマを見ているそうで、やり方も詳しく説明してくれました。
「いきなり裁判というのもきついので、そこはサッカーにならって、まずは困ったことで注意のイエローカードを出す。それでおさまったらいいし、反対に一か月に3枚もらったら、レッドカード、つまり裁判で話し合うっていうのにしたらいいんちゃう?」と自分たち流のアレンジを加えてまっくろくろすけ独自のイエローカード制も導入が決まりました。
朝の会や終わりの会でルール違反とみなされると、黄色い付箋をもらいます。また、もう一枚の付箋に内容を書いて、ミーティングノートに貼ります。具体的になったせいか、裁判に送られたくないせいか、本人もルールを今月何回ルールをやぶってしまったなと意識しやすくなり、繰り返さない子が増えました。おかしのごみをごみ箱に捨てずにそのへんに落としてる子がいたのですが、減ってきました。
それでも、トラブルを起こして裁判送りになってしまう子もいました。
裁判では裁判長のほかに陪審員もいて、それぞれに立候補した人達が審議にあたります。この呼び名は海外ドラマからとりました。有罪になるとペナルティが言い渡されるときもあって、迷惑をかけた相手への償いとして、その子の掃除をかわってしてあげて、相手の自由時間を増やすというのが当時によくあったペナルティです。
その後、日本も裁判員制度が始まり、まっくろくろすけも裁判員と名前が変わりました。そして、少年法の理念に基づいて「罰する」のではなく、「更生」を助けるために、問題行動が収まる練習をするようなペナルティを考えて設けています。