卒業挨拶

H.K(4歳から17歳まで在籍)

まずは私の卒業式にお集まりいただき、ありがとうございます。今日の卒業式のために、何日間も頑張ってくれた役員の皆さん、お手伝いいただいた皆さんには感謝の気持ちで一杯です。そして、私一人のために数多くの方が来てくれたこと、とてもうれしく思っています。

四歳から十七歳までここで育ちました。今までずっとまっくろくろすけが傍にありました。その時々のスタッフ・保護者・メンバーによって中身は違ったけれど、まっくろという団体が今までの人生を通して私とともにありました。

しかし、卒業後して私の人生は今までよりもまっくろという団体と距離を置いたものになるでしょう。

ミーティング中、騒がしくするメンバーの子を鎮めるため、睨みつけることもなくなります。それに、自分が司会をやったミーティングが終わった後、自らの司会進行の不出来さに陰で泣いたりすることもなくなるでしょう。

 

ただ、そういった具体例の想定は可能でも、この3月いっぱいで自分がまっくろを去るのだという実感はあまり湧きません。明日隕石が降ってきて世界が滅亡することを想像できないようなもので、自分がまっくろのメンバーではないなんて、私には到底想像ができないのです。それほどに私とまっくろには深い繋がりが常にあって、いつでもどこでも、まっくろの理念は私の指針として存在しています。

 

私が大切にしている指針、そして今までの卒業生が大切にしてチャレンジしてきたことを少し卒業の挨拶として述べさせてもらいます。

まず、まっくろは何年通ったから自動的にやめるときは卒業になるというわけではありません。卒業に立候補しなければ単に「やめる」だけです。そして、立候補したからといって、全員が卒業生になれるわけでもありません。卒業と認められるにはいくつかの条件があります。

そこに貼ってある入学時の約束が充分にできている人と成長したかどうかもその一つの指針です。

 

【まっくろくろすけはこどもたちが自分たちでやっていくところです。

①自分のことは自分で責任を持ちます。~外出の時など安全には自分で気をつけましょう~

②全体のことにはみんなで責任をもちます。~そのためにミーティングで話し合っていろんなことを決めていきます~

③小さい子から大きい子までみんなが安心して参加できるように暴言・暴力はふるいません。~いやなことや困ったことは話し合って解決していきましょう~

④もう決まっているルールなど何でも変えていけます。~気に入らないことなどミーティングで言ってくださ~

⑤したいことや習いたいことがあれば自分から言ってください。~いろいろなボランティアの先生をみつけてくることもできます~】

 

今年辞めるほかの二人の子もしっかりした優しい子たちでその中の①と③は身に着けていたと思います。

しかし、卒業にチャレンジした子はどの子もそれに加えて、②④⑤についても少なくとも1年、多くの子は2,3年取り組んでいたと思います。とりわけ「デモクラティックスクール」でチャレンジできることだからです。卒業の審査でもこの5つのことが身についているかどうかを他の人が判断できるように「自治に積極的にかかわること」となっています。①~⑤がしっかりできる人かどうか賛成してもらえるように、そう判断してもらえる機会をもってもらえるように日常でどうまっくろの自治に関わっているかの姿勢を示すことが必要です。

私も子ども代表を6回つとめ、システムやルールの提案・改善、ミーティングでの司会や書記、重大と思われる裁判や困ったことには積極的に参加したり、見学者の人のインタビューに答えたり、講演会でPRしたり、HPや紹介動画の改定の委員会を立ち上げたり。その中で責任をもって進めることなどについて経験を積んできました。日常的にもシステムのわかってない子に説明したり、困っていること、助けてほしいと頼まれたことは手伝ったり、けっこう信頼されていたと思います(笑)。そして、自信をもって卒業に挑みました。

 

「卒業しよう」と思う人、「デモクラティックスクールでの学びを深めたい」と思う人は1~2年真剣にまっくろの自治に参画してみてください。

そこで何に気づき、何を思い、考えたかを将来聞かせてもらうのを楽しみにしています。

 

そんな私にとってのすべてと言っていい学び場を、どんな形であれ支えてくださった皆さんには、感謝してもしきれません。今までデモクラティックスクールまっくろくろすけに関わってくださった皆さん、本当にありがとうございました。私も卒業生として恥じぬ行いを心がけるつもりですので、皆さんもどうか、これからもまっくろへのご支援よろしくお願いいたします。

****卒業後について****

まっくろ在籍中に高校認定度試験合格、18歳で立命館大学に進学。大学在学中にアメリカ公認会計士を取得。大学卒業後は、一部上場企業で資格を生かした仕事をしている*****